オブサン古墳|突堤が特徴的な熊本県山鹿市の円墳

熊本県の古墳

基本情報

項目内容
所在地熊本県山鹿市城字西福寺
古墳の種類円墳
築造時期6世紀後半
史跡1999年 国指定史跡
現存する全長約22m(直径)
駐車場あり(無料)
古墳まで駐車場から徒歩約3~6分
外部見学時間約30分(内部見学を含む)
おすすめ度★★★★☆

内部見学について

オブサン古墳は、チブサン古墳とは異なり、内部を自由に見学できます。

入口に扉や鍵はなく、常駐する管理者もいません。

玄室には柵がありますが、手動で照明をつけることができるため、基本的には時間を問わず内部を見学できます。

はじめに

今回は「チブサン古墳」から西北方向、約350mの所にある「オブサン古墳」を訪れてきました。

オブサン古墳は6世紀後半頃に造られた円墳です。

南に伸びる2本の突堤が入口部の左右に取り付けられ、その間には前庭部があります。

ここでは、一体どのような儀式が行われたのでしょうか?当時の人々の気持ちに寄り添いながら、古墳の周辺を歩いてみませんか?

この記事では、オブサン古墳の現地の様子を写真でたどりながら、墳丘や石室の構造、装飾模様、見学時の注意点などを紹介します。

現地レポ|オブサン古墳へ向かう

オブサン古墳の入口案内図

チブサン古墳の遊歩道

チブサン古墳からの遊歩道を歩くと、約6分で到着します。(突き当りを右折します)

オブサン古墳の入口

オブサン古墳の入口には標柱と駐車場への看板がありますが、ここから車で入ることは出来ません。

オブサン古墳の駐車場

オブサン古墳の北西側に駐車場が3区画あり、トイレの前には大型バスも停められます。

一番南側のオブサン古墳駐車場(遊歩道入口)

駐車場からオブサン古墳へ行くには、一番南側の駐車場から遊歩道をおりる必要があります。

遊歩道の途中の階段

途中に階段があります。雨に濡れると滑りやすいため、気を付けてください。

現地パネル解説への案内看板

オブサン古墳の正面に看板があり、その奥に現地パネル解説があります。

解説施設と前室と玄室の閉塞石の展示

左から、前室閉塞石(西南戦争の弾痕あり)、玄室閉塞石、現地パネル解説、(出土遺物レプリカ)が展示されています。

まずは現地パネルで概要を学ぼう

オブサン古墳の概要

オブサン古墳(産さん)の名称は、チブサン古墳(乳の神様)に関連づけて命名されたものらしく、昔から安産の神様として信仰されてきました。

復元前の墳丘は12m、高さ4mでしたが、調査の結果、築造時は直径22m、高さ5m、周囲に馬蹄形状の周溝を巡らした円墳であったことがわかっています。

この古墳は南に開口する横穴式石室をもち、南に延びる2本の突堤が入口部左右に取り付けられています。その間には、儀式の場と思われる前庭部があり、周溝から区分されています。

石室内の玄室には、奥壁に沿って石屋形が設けられていましたが、破壊されたため、現在は復元されています。

また、奥壁の中央部左寄りには、朱で描かれた小型の盾または靭が見られました。

玄室の屍床(左側)仕切り石には、朱による連続三角文が描かれており、現在も本物の装飾をうっすらと確認することができます。

オブサン古墳周辺地形図

オブサン古墳周辺には、こんな古墳・横穴群があります。

  • チブサン古墳
  • 金屋塚古墳
  • 臼塚古墳
  • 馬塚古墳
  • 弁慶ヶ穴古墳
  • 鍋田横穴群
  • 付城横穴群
  • 城横穴群

があり、金屋塚古墳を除き、装飾が確認されています。

石室の構造

石室は地元産の巨石を使って築かれ、玄室・前室・羨道からなる構造です。

玄室には石屋形と左右の屍床が設けられ、屍床には直径10cm前後の平たい敷石が敷かれています。

前室にも、玄室と同様に左右に敷石が見られます。

玄室奥壁から前庭部末端までは約15mあります。

復元前の墳丘

江戸時代中期、畑地造成のため墳丘の裾部が削られました。

さらに明治10年(1877)の西南戦争では政府軍の陣地として利用され、石室内の閉塞石など、多量の石材が運び出されました。

前庭部には、それらの石材を利用した掩体(身を守るための防御壁)が設けられ、石室内の破壊も進みました。

墳丘と周溝

オブサン古墳は上から見ると丸い形をした円墳です。周囲にU字形の周溝を巡らせています。

横穴式石室の構造(複室)

玄室・前室・羨道がつながる複室構造で、玄室と前室、前室と羨道の境には、袖石や框石が用いられています。

装飾模様

九州の装飾古墳には、円文・三角文・直弧文・双脚輪状文などの幾何学模様や、靭・盾・刀子・人物・馬・舟など、当時の生活をしのばせる形象的な模様があります。

装飾の手法には、線刻・浮き彫りによるものと、絵画によるものがあり、熊本県では前者、福岡県では後者が主に見られます。

その中間に位置する山鹿地方では、両者が並立することが特色です。

玄室左仕切り石の装飾模様

オブサン古墳の玄室左仕切り石には、朱による連続三角文が描かれています。

現在もうっすらと、本物の装飾を確認することができます。

オブサン古墳の出土遺物(古墳築造時)

古代の副葬品として、装身具や馬具・武具、須恵器などが出土しています。

特に馬具や武具類は羨道部、須恵器類は前庭部に集中していました。

一方、玄室から古墳築造時の副葬品がほとんど見つかっていないことから、早い時期から開口し、度々盗掘されたことがうかがえます。

四たび歴史の舞台に

オブサン古墳は、6世紀後半から7世紀初めにかけて築造された豪族の墓と考えられています。

その後、古墳は一度忘れられましたが、平安時代には地元の有力者の墓として利用され、江戸時代には安産の神様として信仰されました。

さらに明治10年(1877年)の西南戦争では政府軍の陣地として利用され、石室も大きな被害を受けています。

昭和61年には風土記の丘設置事業によって築造当時の姿に復元されました。

こうしてオブサン古墳は、時代ごとに異なる形で人々と関わってきたのです。

現地レポ|石室内部に入ってみた

前室入口

大きな石材を使って築かれた石室の入口です。

袖石に残る弾痕

西南戦争の際に受けた銃撃の痕跡が、現在も残っています。

玄室入口

苔に覆われた玄室内部には、どこか神々しさを感じます。(玄室側には電灯がつけられています)

玄室左仕切り石

心の目で見ると、うっすら赤い三角文が!

※この三角文については、熊本県立装飾古墳館の学芸員の方に確認したところ、実物であることを教えていただきました。

古墳メモ

石屋形は家形石棺を変形させたような埋葬施設で、前面を石で完全に閉じない構造になっています。

埴輪や葺石は見つかっていません。

オブサン古墳の石室は、地元産の巨石を使って築かれています。チブサン古墳に比べて大きな石が多く、前室・玄室の入口も、立ったまま入れるほどの広さがあります。

実際に訪れると、玄室左仕切り石に描かれた、本物の三角文をうっすらと見ることができます。

撮影ポイント

突堤が特徴的な古墳なので、南側から見た姿や、突堤の内側が分かる位置からの撮影がおすすめです。

季節によって古墳の装いも変わるので、空や木々など周囲の景色も意識して撮影してみてください。

注意ポイント

古墳周辺には虫が多いため、虫よけがあると安心です。

駐車場からの遊歩道や階段は、雨や水で濡れると滑りやすくなります。特に降りる際は、足元にご注意ください。

古墳の近くには、店舗・飲食店・自動販売機はありません。飲み物などは、あらかじめ用意しておくと安心です。

トイレは駐車場の一番奥(北側)にあります。

アクセス

【車】

菊水インターチェンジから車で約15分です。駐車場は無料で、大型バスも駐車できます。

【電車】

古墳の近くに鉄道駅はありません。

【バス】

九州産交バス・山鹿南関線の「石村」バス停で下車し、徒歩約15分です。

平山温泉を経由する路線があります。

運行本数や時刻は変更される場合があるため、訪問前に最新の時刻表をご確認ください。

持ち物

・飲み物

・帽子

・虫よけスプレー

・歩きやすい靴

・携帯電話

・タオル

周辺の見どころ

古墳周辺には、あわせて立ち寄りたい場所があります。

【チブサン古墳】
オブサン古墳と同じ西福寺古墳群に属する古墳です。オブサン古墳とあわせて見学しやすい場所にあります。

【山鹿市立博物館】
チブサン古墳の内部見学受付を行う施設です。チブサン古墳から出土した遺物も保管・展示されています。

【鍋田横穴群】
岩野川沿いの凝灰岩の崖に築かれた横穴墓群です。特に27号横穴は鍋田横穴群の中で最も有名な浮彫の装飾を持ち、自由に見学できます。

【熊本県立装飾古墳館】
オブサン古墳から車で約15分の場所にあります。装飾古墳について詳しく学べるため、時間があれば一緒に巡るのがおすすめです。

関連する古墳

【チブサン古墳】
熊本県山鹿市にある、西福寺古墳群の一つです。

まとめ

オブサン古墳は、チブサン古墳を見学に来られた際には、ぜひ立ち寄っていただきたい場所です。

装飾は、心の目で見るとうっすらと赤い三角文を確認することができます。

西南戦争の傷痕など、歴史的な視点からも貴重な古墳です。現在の復元された姿から、平和の大切さを見つめ直せる場所としてもおすすめしたい古墳です。

現地には詳しい案内パネルやレプリカ展示があり、墳丘・石室・装飾・出土遺物について学ぶことができます。

芝生に覆われた墳丘を歩きながら歴史を感じられるため、古墳が好きな方だけでなく、写真撮影や散策を楽しみたい方にも向いています。

近くを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

読者へのひとこと

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

オブサン古墳へ行ったことはありますか?

現地で気づいたことや、おすすめの古墳があれば、ぜひコメントで教えてください。

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