チブサン古墳|装飾壁画と武装石人で知られる熊本県山鹿市の前方後円墳

熊本県山鹿市のチブサン古墳 熊本県の古墳

基本情報

項目内容
所在地熊本県山鹿市城字西福寺
古墳の種類前方後円墳
築造時期6世紀前半
史跡1922年 国指定史跡
現存する全長約44m
本来の規模周溝を含め55m以上と推定
駐車場あり(無料)
古墳まで駐車場から徒歩約1分
外部見学時間約30分
おすすめ度★★★★★

内部見学について

チブサン古墳の内部見学は、山鹿市立博物館での事前予約が必要です。

見学は土曜・日曜・祝日の10:00と14:00で、各回10名までです。

一般・大学生は100円、高校生以下は50円です。

見学日時や受付方法は変更される可能性があるため、訪問前に最新情報をご確認ください。

はじめに

今回は、装飾古墳として有名な「チブサン古墳」を訪れてきました。

チブサン古墳は、今から約1500年前にあたる6世紀前半に築造された前方後円墳です。

現在は芝生に覆われた穏やかな丘のような姿をしていますが、築造当時は墳丘の周囲に溝が巡らされ、表面には石が葺かれ、埴輪や石人が置かれていたと考えられています。

当時の人々の姿や住まい、暮らしを想像しながら、古墳の周辺を歩いてみませんか?

この記事では、チブサン古墳の現地の様子を写真でたどりながら、墳丘や石室の構造、装飾壁画、石人、見学時の注意点などを紹介します。

現地レポ|チブサン古墳へ向かう

古墳入口の案内板

チブサン古墳の入口には案内板があり、さらに上の駐車場まで車で進むことができます。

ただし、駐車場へ向かう道は急な坂になっています。

大型車、車高の低い車、前方が長い車などは通行が難しい可能性があるため、無理をせず車両に合わせて判断してください。

入口の現地案内板

案内板には、チブサン古墳が6世紀前半に築造された前方後円墳であることや、周溝・埴輪・石人を伴っていたことが記されています。

また、石室内の石屋形には、赤・白・黒の顔料による装飾が描かれていると紹介されています。

まずは現地パネルで概要を学ぼう

駐車場の横には、チブサン古墳や周辺の遺跡について学べる解説施設があります。

埴輪や石人、石屋形のレプリカも展示されており、実際の墳丘を歩く前に概要を知ることができます。

解説施設とレプリカ展示

駐車場横の解説施設には、円筒埴輪や武装石人、石屋形のレプリカのほか、墳丘や石室の図面、周辺遺跡の案内などが展示されています。

肥後古代の森・山鹿地区

山鹿地区には、チブサン古墳だけでなく、オブサン古墳、西福寺古墳群、山鹿市立博物館、鍋田横穴群など、古代の遺跡や関連施設がまとまっています。

案内図を見ると、周辺の古墳や博物館を合わせて巡りやすい地域であることが分かります。

チブサン古墳の整備

チブサン古墳では、石室内部の装飾文様を保存するための工事や、周辺環境の整備が行われました。

現在は駐車場や解説施設が整えられ、調査で確認された周溝の一部も、地面の上に分かるように表示されています。

墳丘と石室の概要

チブサン古墳は、長軸をほぼ東西に向けた前方後円墳です。

道路や開墾などによって墳丘の一部が削られ、現在の墳丘長は約44mとなっています。

周溝の確認調査などから、本来の全長は55m以上あったと推定されています。

北側のくびれ部には、造出しも確認されています。

埋葬施設は後円部にあり、南側に入口を持つ複室構造の横穴式石室です。

石室の側壁には凝灰岩の割石がドーム状に積み上げられ、上部は大きな一枚の天井石で塞がれています。

このような構造は、熊本県を中心に分布する「肥後型石室」と呼ばれています。

チブサン古墳の墳丘

墳丘測量図と前方後円墳の部分名称

前方後円墳は、四角形に近い「前方部」、円形の「後円部」、その間をつなぐ「くびれ部」から構成されています。

チブサン古墳では、くびれ部の両側に「造出し」と呼ばれる張り出し部分があったことも確認されています。

周溝と石屋形

墳丘の周囲には、周溝が巡らされていました。

調査では、周溝から埴輪なども確認されています。

また、後円部の石室奥には、遺体を納めるための「石屋形」が設けられています。

チブサン古墳の石室

複室構造の横穴式石室

埋葬施設は後円部にあり、入口は南東側に開いています。

石室は、羨道・前室・後室からなる複室構造の横穴式石室です。

石室全体の長さは約6mとされ、後室の奥には石屋形が設けられています。

石人と埴輪

円筒埴輪と武装石人のレプリカ

チブサン古墳には、墳丘を飾る埴輪や、古墳を守るように立てられた石人がありました。

円筒埴輪の実物は山鹿市立博物館、石人の実物は九州国立博物館で保管・展示されています。

古墳を守った武装石人

九州では、凝灰岩を使って人物・動物・器材などを表した石製品が造られ、古墳の周囲に立てられました。

こうした石製品は、石人・石馬・石製装飾などと呼ばれます。

現地パネルによると、石製品を持つ古墳は全国で約28例あり、その多くが九州に集中しています。

チブサン古墳の石人は、胴に短甲を着けた武装石人です。

古墳を守るために立てられたと考えられています。

チブサン古墳の出土遺物

チブサン古墳の石室は古くから開口しており、石室内に納められていた遺物の詳細は分かっていません。

保存工事に伴う調査では、須恵器・土師器・埴輪が出土しました。

小型の長頸壺も2点確認されており、1点は黒漆塗り、もう1点は丹塗りだったと説明されています。

墓前で行われた祭祀に使われた可能性があると考えられています。

装飾壁画が描かれた石屋形

石屋形の壁面には、円文・三角文・菱形文・人物表現などの装飾が描かれています。

顔料は、赤・白・黒の3色が使われています。

古い資料には「青」と記載されていますが、現在の資料ではマンガンを含む黒色顔料と説明されています。

写真で歩くチブサン古墳

ここからは、実際に墳丘の周囲を歩きながら見つけた場所を、写真とともに紹介します。

西福寺第12号石棺

チブサン古墳の南西側には、「西福寺第12号石棺」があります。

墳丘の手前に見える石と案内板が、石棺の位置を示しています。

西福寺第12号石棺は、1989年1月、チブサン古墳とオブサン古墳をつなぐ園路の造成中に発見されました。

凝灰岩製の板石6枚を使った箱式石棺で、長さは193cm、内径は171cmです。

盗掘を受けていたため、遺物や副葬品は出土していません。

埋納された時期は、チブサン古墳が築造された6世紀前半以降、それほど間を置かない頃と考えられています。

北側の周溝と造出し

北側からは、前方部と後円部の高まりが分かりやすく見えます。

地面には、調査で確認された周溝や造出しの範囲が示されています。

芝生に覆われた現在の姿だけでなく、築造当時の墳丘周辺を想像しながら歩くことができます。

石室入口

石室入口は、後円部の南東側にあります。

通常は扉に鍵がかかっており、自由に内部へ入ることはできません。

内部見学には、山鹿市立博物館での事前予約が必要です。

古墳メモ

チブサン古墳の装飾に使われた赤色顔料には、水銀朱ではなく、阿蘇周辺で採れる阿蘇黄土を焼いたベンガラが使われているとされています。

ベンガラには防虫・防腐作用があるといわれていますが、装飾壁画を保存する目的で使われたかどうかは、今回確認した資料だけでは分かりません。

また、石屋形は家形石棺を変形させたような埋葬施設で、前面を石で完全に閉じない構造になっています。

チブサン古墳の石屋形正面左側には、現在一部の石材がありません。もともと存在しなかったのか、石室が開口した後に失われたのかは分かっていません。

撮影ポイント

・古墳の南東側から、墳丘の全景を撮影できます。

・午前中は順光になりやすく、墳丘を明るく写しやすいと思います。

・前方部と後円部の両方が入る位置を探すと、前方後円墳らしい形が伝わりやすくなります。

注意ポイント

・古墳周辺には虫が多いため、虫よけがあると安心です。

・現地パネル前の石畳は、雨や水で濡れると滑りやすくなります。

・近くに店舗、飲食店、自動販売機はありません。

・チブサン古墳にはトイレがありません。

・トイレはオブサン古墳の一番奥の駐車場にあります。

・古墳内部は基本的に撮影禁止です。

・内部見学時は、現地スタッフの案内に従ってください。

アクセス

【車】

菊水インターチェンジから車で約15分です。

駐車場は無料です。

入口から駐車場へ向かう道は急坂のため、車種によっては通行が難しい場合があります。

【電車】

古墳の近くに鉄道駅はありません。

【バス】

九州産交バス・山鹿南関線の「石村」バス停で下車し、徒歩約10分です。

平山温泉を経由する路線があります。

運行本数は1日5〜7本程度とされていますが、曜日やダイヤ改正で変わる可能性があるため、訪問前に最新の時刻表をご確認ください。

持ち物

・飲み物

・帽子

・虫よけスプレー

・歩きやすい靴

・携帯電話

・少額の現金

・タオル

内部見学料などに備えて、現金を用意しておくと安心です。

古墳の近くには店舗や飲食店がないため、飲み物などは事前に準備してください。

装飾古墳の数

熊本県立装飾古墳館の資料によると、日本全国で849基の装飾古墳が確認されています。

そのうち九州には448基、熊本県には212基、菊池川流域には131基が確認されています。

都道府県別の装飾古墳数の上位は、次のとおりです。

① 熊本県:212基
② 福岡県:83基
③ 千葉県:79基
④ 宮崎県:74基
⑤ 鳥取県:54基

全国の総数:849基

※熊本県立装飾古墳館ウェブサイト参照
(2025年6月時点のデータ)

周辺の見どころ

古墳周辺には、あわせて立ち寄りたい場所があります。

【オブサン古墳】

チブサン古墳と同じ西福寺古墳群に属する古墳です。

チブサン古墳とあわせて見学しやすい場所にあります。

【山鹿市立博物館】

チブサン古墳の内部見学受付を行う施設です。

チブサン古墳から出土した遺物も保管・展示されています。

【鍋田横穴群】

岩野川沿いの凝灰岩の崖に築かれた横穴墓群です。

【熊本県立装飾古墳館】

チブサン古墳から車で約15分の場所にあります。

装飾古墳について詳しく学べるため、時間があれば一緒に巡るのがおすすめです。

関連する古墳

【オブサン古墳】

熊本県山鹿市にある、西福寺古墳群の一つです。

【岩戸山古墳】

福岡県八女市吉田にある大型前方後円墳です。

石人文化の広がりや、地域間のつながりを考えるうえで、あわせて知っておきたい古墳です。

まとめ

チブサン古墳は、古墳巡りが初めての方にもおすすめできる場所です。

特に、装飾壁画と石製装飾である武装石人をあわせて知ることができる点は、全国的に見ても貴重です。

現地には詳しい案内パネルやレプリカ展示があり、内部見学をしない場合でも、墳丘・石室・装飾・出土遺物について学べます。

芝生に覆われた墳丘を歩きながら歴史を感じられるため、古墳が好きな方だけでなく、写真撮影や散策を楽しみたい方にも向いています。

近くを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

読者へのひとこと

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

チブサン古墳へ行ったことはありますか?

現地で気づいたことや、おすすめの古墳があれば、ぜひコメントで教えてください。

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